アースカラーコーデ術|ナチュラルで洗練された着こなし方
地球の色—ベージュ、テラコッタ、オリーブグリーン、キャメル、モスグリーン。こうした落ち着いた色合いをまとうアースカラーコーデは、今ファッションシーンで最も注目されているトレンドの一つです。派手さはないけれど、どこか上品で、肌に優しく、そして自然と調和している。そんなアースカラーの魅力に、大人女性から若い世代まで、幅広い年代が惹かれています。今回は、アースカラーを使いこなし、ナチュラルでありながら洗練された着こなしを実現するコツをお届けします。
アースカラーとは?その本質と魅力
アースカラーは、自然界に存在する土、砂、石、植物から着想を得た色の総称です。ブラウン系、グリーン系、そしてそれらのくすみカラーが中心。人工的ではなく、有機的で、見ているだけで心が落ち着く—そこにあるのは、自然との調和を求める現代人の心理です。
アースカラーの最大の魅力は、肌色をより美しく見せる点です。ビビッドな色は光を反射して存在感を主張しますが、アースカラーは肌に自然と寄り添い、血色をよく見せます。また、落ち着いた色合いだからこそ、大人っぽさや上品さが自動的に備わります。さらに、これらの色は互いに調和しやすく、失敗の少ないコーディネートが実現しやすいのも大きな利点です。
アースカラーの種類を知ろう
ベージュ—最も親しみやすいアースカラー。肌色に最も近く、合わせやすいため、初心者に最適。濃淡によって印象が変わり、薄いベージュは優しく、濃いベージュは大人っぽくなります。
キャメル—高級感と温かみを兼ね備えた色。秋冬に特に活躍し、コート、バッグ、パンプスに使われることが多い。大人のアースカラーコーデの主役級です。
テラコッタ—レンガ色とも呼ばれるオレンジ寄りのブラウン。個性的でありながら、自然な雰囲気を保つ難しい色。秋の装いに最適で、コーディネートに温かみをもたらします。
オリーブグリーン—くすみを帯びたグリーン。洗練された印象を与え、ベージュやブラウンとの組み合わせが抜群。トップスやボトムスの主役になり得る色です。
モスグリーン—より深くくすんだグリーン。秋冬に活躍し、落ち着きと知性を表現。シンプルなデザインのトップスなら、この色1枚で上品さが引き出されます。
グレージュ—グレーとベージュの中間色。トレンド感のある洗練された色で、くすみが大人っぽさを演出します。難易度は少し高いですが、コーデに深みが出ます。
タン—黄みを帯びた薄いベージュ。温かみがあり親しみやすいながら、しっかり存在感がある。年間通じて使える万能色です。
基本のアースカラーコーデ—配色の黄金比
アースカラーでコーディネートをまとめるには、色のバランスが重要です。基本的な配色方法をマスターすれば、どんなアイテムでも失敗しにくくなります。
ベースカラー:ボトムス70%—ボトムスに最も落ち着いた色を持ってきます。黒いデニム代わりに、濃いブラウンのスラックスや、グレージュのパンツを選ぶ。全体の基盤となるため、ここが安定していないとコーデが崩れます。
メインカラー:トップス20%—ボトムスより少し明るいアースカラーをトップスに。ベージュのボトムスなら、キャメルのニットを、モスグリーンのボトムスなら、テラコッタのトップスを合わせるといった具合。ここが全体の表情を決めます。
アクセントカラー:小物10%—バッグ、靴、アクセサリーで色を足します。スカーフやベルトで異なるアースカラーを挿し込むと、コーディネートに奥行きが生まれます。
季節ごとのアースカラー選び
春:明るいベージュ、タン、薄いテラコッタ—光がやわらかい春は、薄くて明るいアースカラーが活躍します。タンのシャツ、ベージュのパンツ、白いスニーカーの組み合わせは、春の定番。生地は綿や麻を選ぶと季節感が出ます。
夏:オリーブ、ライトブラウン、クリーム色—夏のアースカラーは、涼しさを表現することがポイント。麻のシャツ、薄いカーキのパンツ、籐のバッグ。全体的に素材感で季節を表現しましょう。
秋:テラコッタ、キャメル、モスグリーン—アースカラーが最も活躍する季節です。テラコッタのセーター、キャメルのコート、モスグリーンのバッグ。暖色系を多めに使うと、秋らしい温かみが出ます。
冬:濃いブラウン、グレージュ、深いオリーブ—冬はより深くくすんだアースカラーが活躍。濃いブラウンのコート、グレージュのニット、黒いブーツの組み合わせは、洗練された冬の装いになります。
アースカラーコーデの実例—これなら作れる
例1:上品な通勤スタイル—ベージュのテーパードパンツ、キャメルのニット、濃いベージュのトレンチコート。足元は黒いパンプス。シンプルながら、落ち着きと大人っぽさに満ちています。バッグはゴールドの金具付きで、上品さを加速させます。
例2:秋らしいカジュアルスタイル—テラコッタのセーター、黒いデニム、濃いブラウンのレザージャケット。足元は白いスニーカー。黒のデニムが引き締める役割を果たし、アースカラーの温かみとモダンさが両立します。
例3:知的でナチュラルなスタイル—モスグリーンのセーター、ベージュのストレートパンツ、オリーブのライダースジャケット。足元は茶色のローファー。グリーン系でまとめることで、自然との調和が表現されます。
例4:大人のリラックススタイル—グレージュのスウェット、ベージュのオーバーサイズシャツ、黒いスキニーパンツ。足元はベージュのスニーカー。くすみの強いアースカラーを選ぶことで、肩の力が抜けた上品さが生まれます。
アースカラーコーデで避けるべき失敗
全身がくすみすぎて地味に見える—アースカラーは落ち着いた色ばかりなので、工夫がないと単調に。白いスニーカーやゴールドのアクセサリーで、適度な「明るさ」を足すことが大切です。
全て同じトーンで合わせてしまう—濃さの異なるアースカラーを組み合わせることで、奥行きが生まれます。ベージュとテラコッタ、モスグリーンとタンなど、色数は少なくても濃淡を変えましょう。
アースカラーだけで完結させる—黒いアイテム(パンツ、ブーツ)や白いアイテム(Tシャツ、スニーカー)を混ぜることで、メリハリが出ます。完全にアースカラーで揃えるより、黒白を適度に挟む方が洗練されます。
生地感を無視する—アースカラーは色だけでなく、素材感で季節を表現します。冬にシャギーやニット、夏に麻や綿を選ぶ—こうした気遣いが、アースカラーコーデの完成度を高めます。
アースカラーを引き立たせる小物選び
バッグ—アースカラーに合わせるなら、同系色か黒。ゴールドやシルバーの金具を選ぶことで上品さが出ます。素材は革や麻が最適。
靴—黒いパンプスやブーツで引き締める方法もあれば、同系色の靴で統一する方法も。スニーカーなら白か同系のベージュ・ブラウンで。
アクセサリー—ゴールドが最適。アースカラーの温かみと相性が良く、上品さが際立ちます。シルバーの場合は、より洗練された印象になります。
スカーフやベルト—異なるアースカラーを挿し込むチャンス。グレージュのコート に黄土色のスカーフを巻いたり、ベージュのワンピースに濃いオリーブのベルトを締めたり。小物で遊び心を表現します。
アースカラーと肌色—似合う色を見つける
アースカラーは肌に優しい色ばかりですが、肌色によってより似合う色が異なります。少しの工夫で、さらに自分を引き立たせることができます。
ブルーベース(冷たい肌)—グレージュ、モスグリーン、くすみの強いベージュが最適。暖色のテラコッタより、冷色系のアースカラーを選ぶことで、肌が一層きれいに見えます。
イエローベース(温かい肌)—キャメル、テラコッタ、タンが最適。黄みを帯びたアースカラーを選ぶことで、肌の温かみが引き出されます。
アースカラーで手に入れるもの
アースカラーコーデは、ただおしゃれなだけではありません。毎日を丁寧に、ナチュラルに過ごすという姿勢が表現されます。派手な色で目立つのではなく、自然な色で調和する。速いトレンドに乗るのではなく、時間とともに色褪せていく素材を愛する。
アースカラーを選ぶ人は、自然を愛し、丁寧な暮らしを心がけている—そう言われるのは、決して過言ではありません。実際、アースカラーのワードローブは長く愛用でき、経年変化も美しい。結果的に、より持続可能でエシカルなファッション選択にもなるのです。
今季、アースカラーで上品な自分に
今週末、鏡の前に立ってみてください。ベージュのセーター、キャメルのコート、グレージュのパンツ。アースカラーだけでも、こんなに落ち着きと上品さが生まれるんです。トレンドを追うのではなく、自分の肌に寄り添う色を選ぶこと。その先に、本当に似合う装いが待っています。自然との調和、肌色の美しさ、時間をかけて育つ味わい—それがアースカラーコーデの本質です。


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